佐野龍平さん

七転八倒

佐野龍平さん東京都立大学 理学部生命科学科

中学1年の夏から頭痛、めまい、貧血の症状でずっと苦しんできました。「勉強したい」「色々なことを知りたい」と思っても、体が言うことを聞かず、絶望的な気持ちになることもありました。トライ式高等学院で高校生活をスタートさせたのは、自分のペースで勉強をしていけるからというのが理由です。勉強に関しては期待通りの成果を上げることができました。数学、物理、化学を担当していただいた舩木先生は適切なご指導で、何を聞いてもすぐ解説してくださいました。英語の笠原先生は私に合ったご指導をしてくださり、オリジナルの教材を作っていただきました。古文、漢文の山口先生は、共通テスト用の知識を効率的に入れてくださったと思います。
勉強に加えて、高校生として充実した生活を送ることもできました。1年生では埼玉大学のHiGEPSでひと足先に大学の勉強にアプローチをし、キャンパスで生物部を立ち上げ、家では自転車やPCを組み立て、セカンドハンドの店で修理をしながら働くなど、2年生の終わりごろまで課外活動も思う存分やれたと思います。体も少しの不調を残してどんどんよくなっていきました。3年生になってからは本格的に受験に向けて勉強時間を取り、このまま調子よく受験まで走れるものと信じて疑っていませんでした。
でもその先に大きな落とし穴が待ち受けていました。受験のプレッシャーから集中力が消え、勉強の効果が上がらず、食欲も極端に減退し痩せてしまいました。あんなに好きだった勉強もうまくいかなくて焦りだけが増していきました。私はひとりで孤独にもがいていました。と、その時は思っていました。でもそうではありませんでした。スタッフの方たちみんなが固唾をのんで私の動向を見ていてくれました。秋になるころ、東京都立大学を推薦で受験することを打診されました。推薦ではなく学科で受験したいという希望をわかってくれていたスタッフの方は、私がそれを受け入れたとき、安心のあまり横で涙を流されていました。
とはいっても、推薦だって狭き門です。そこからは得意とは言いがたい、文を通して自己アピールをし、理系分野を小論文で表現する、という初めての経験にも苦戦しました。それを3ヶ月で怒涛のように行いました。本当ならもっと時間をかけてゆっくりやりたかったところですが、持ち前の粘り強さでダメ出しされても何度も何度もなれない文を書き続けました。ようやくそれなりのレベルのものをコンスタントに書けるかな、と思ったのは実に受験前日でした。それでも当日は極度の緊張に襲われ小論文は満足のいくように書けなかったと思います。その分、翌日の面接では丁寧に自身のことを話せました。前日の失敗のおかげで緊張しすぎることもなく、気負いすぎることもなく、いつもの自分を出せました。そして面接でそうあれたのは、高等学院で培った力だったと思っています。もっと体力をつけておけばよかった、とか、イレギュラーなことが起こっても対処できる気構えをしておく、とか、後悔がなくはありませんが、望む道に進めて満足しています。大学では合成生物分野で学びを深め、そののち研究職につく道を歩んでいくつもりです。
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